インタビュー

Keiichi Hasegawa
長谷川 慶一

営業部門

「ワクチン後進国」と言われない日を迎えるために

Q. 長谷川さんはジャパンワクチン(以下JV)で初めて、ワクチン担当MRを経験したわけですが、最初に感じたことを教えてください。

ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌によって発生する病気をHib感染症というのですが、特に乳幼児で注意が必要です。私がJVで働き始めた2012年当時はワクチンによって国内のHib(ヒブ)感染による乳幼児の髄膜炎発症が大きく減少したことが明らかになり、先生方がその効果を実感し始めた頃でした。先生がしみじみと「このワクチンは子供を守るために重要だよね」とおっしゃって下さった時は嬉しかったですね。

Hib感染症に対するワクチンの予防効果については、既に海外のエビデンスが発表されていましたが、当時、国内では定期接種(法に基づいて、市区町村が主体となって接種する)ワクチンではなく、接種するかどうかを保護者の皆さんが自分で判断する任意接種ワクチンでした。私のMR活動はヒブ感染症やその予防について正しい理解を拡げていくことをゴールにしていましたが、先生方のワクチンに関する情報ニーズは高く、自分が必要とされる嬉しさを感じていました。「ワクチン後進国」と言われる日本の現状を変えよう、新しい時代を切り開いて行こう、そんな使命感や高揚感もありましたね。MRとして先生方に信頼されるパートナーになることを一生の仕事にしたいと思いました。

リスク・ベネフィット情報を正しく伝えることの大切さ

Q. 逆にワクチンMRの厳しさ、辛さというものがあるとすれば、どのようなことでしょうか。

MRの皆さんは自社の薬剤の効果で患者さんの命が救われるという経験をしたことがあるのではないでしょうか。私も前職では治療薬のMRでしたから、自社製品を褒められることに誇りに感じましたし、仕事のやりがいにもなっていました。しかし、ワクチンは健康な人に接種されるものですから、そうしたお言葉をいただくことはほとんどありません。逆にワクチンも薬物である以上、まれには重篤な副反応(副作用)が発生する可能性があります。一般の方は「みんなが接種するワクチンだから、注射を打つのが当たり前。副反応なんて無いだろう」と思っている方がほとんどだと思います。

もし、私たちが副反応の情報を正しく伝えずに、先生方や保護者の皆様からの信頼が大きく崩れた時には、私という一人のMR、JVという会社だけの問題に留まらず、ワクチンそのものが否定されるような社会問題に繋がりかねません。その際には、すべてのお子様、日本の国民を守る術を一つ失うことになるかもしれない。そんな怖さとずっと向き合っていかなければならないことは、ワクチンMRの厳しさかもしれません。

「ワクチンと言えばジャパンワクチン」

Q. 長谷川さんが、中長期的、例えば5年後に目指しているワクチンMR像を教えてください。

現在、ジャパンワクチンの製品ラインアップは小児の感染症予防ワクチンが中心です。でも、今後は小児以外の領域にも拡大していくことが見込まれています。まずは拡大していく担当領域に合わせて自身をバージョンアップさせなければなりません。製品そのものについては当然ですが、疾患、疫学、関連法規、行政対応などの幅広い知識が必要になります。特に医学的な知識を十分にお持ちでない保護者、接種を受ける皆さんに対して、先生方がワクチンの万が一のリスク、メリットをわかりやすく伝えられるようなお手伝いができるといいですね。

また、ワクチンの正しい理解を拡げていくためには、実際に来院者と接するコメディカルの皆さんの役割がとても大きいのです。保護者の皆様への説明話法、誤接種防止に繋がる接種手順、注射が怖くて泣きじゃくるお子さんの気のそらし方などに関する様々なノウハウが、それぞれの施設で生み出され、磨き上げられています。ワクチン専業メーカーのMRとして、私がこうしたノウハウをうまく引き出し、他の施設にもお伝えしていくことができれば、「ワクチンと言えばジャパンワクチン」と言っていただける日も近づくのではないかと思っています。

「スキルや思いは直接的に人から人へ伝わるもの」

Q. そのような知識、スキルアップに向けた会社の研修体制をどのように受け止めていますか。

まずは「Vaccine Expert」試験の存在が大きいですね。毎年、継続的に更新が必要な社内資格なのですが、全員が合格する試験ではなく、周囲もずっとレベルアップしていくので、怠けてはいられないというプレッシャーはありますね。専業メーカーですから、ワクチンに関する自己研鑽の資材がとても充実しているのは、当然なのかもしれませんが、プロダクトマーケティング部門にMR専用の問い合わせ窓口があるのには驚きました。知識面でわからないことがあった時には、その回答だけでなく、さらに周辺知識を拡げるための助言もしてくれます。これは「1県1MR担当」になることもあるJVのMRが社内の他のMRと毎日接することができないことをうまく補完していると思います。

それと集合研修についてですが、毎月、各エリア事業所で行われるものに加えて、年に2回は全MRが一堂に会して宿泊研修も行われます。全社でも約150名しかMRがいないのですが、逆に少ない人数で直接的にノウハウ共有ができるのは良いですね。白熱したディスカッションや質疑応答になることもあるのですが、諸先輩方が「スキルや思いは直接的に人から人へ伝わるもの」という考え方を持っていることが影響しているのかもしれません。

JVの仲間はみんなワクチンが好きで、その社会的な意義を実感しています。人それぞれにこれまでの経験が違うのは当たり前ですが、「共通のゴール」があれば必ずわかりあえます。「健康な方の”普通”を創っていく」ことに誇りを持ち、互いに刺激し合いながら、使命をまっとうしていきたいですね。